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転生したらスライムだった件を中心に、ドラクエ、エターナル・ラブ三生三世のコメント、感想など吐きます。
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2014-12-02 (火) | 編集 |
                まひるの月
「まひるの 月を 追いかけて」
こんなタイトルは惹き付けられます。

「異母兄弟が奈良で消息を絶った。
たった二度しかあったことがない兄の彼女に誘われて、
私は研吾を捜す旅に出る。
早春の橿原神宮、藤原京跡、今井、明日香…。
旅が進むにつれ、次々と明らかになる事実。
それは真実なのか嘘なのか。
旅と物語の行き着く先は―。
恩田ワールド全開のミステリーロードノベル。」

これは面白そうなので読んでみました。

主な登場人物は4人しかいない。
なのに400ページの密度の濃い小説になっている。
ここに登場人物を紹介しておきます。

静(しずか):会社員。教師の母がおり、父は既に亡くなっている。
優佳利と共に研吾を探す為、奈良を訪れる。研吾の異母兄弟。

渡部研吾(わたべ けんご):フリーライター。
静の父親と前妻との間の子供で、静とは異母兄妹の関係。

君原優佳利(きみはら ゆかり):会社員。
研吾の彼女であり高校時代の同級生。静との面識は二回しかない。

藤島妙子(ふじしま たえこ):主婦。研吾の高校時代の同級生。

物語は6つの章で構成されており、おとぎ話が挿入されている。
「時に臨みて作れる歌」の章の「愛のサーカス」が特に印象に残りました。
少し長いので要約します。

「海辺の小さな街に、サーカスがやってくるという噂が流れました。
しかし、やって来たのは団長と小さな男の子一人でした。
少年は、いつも一人で、寂しそうな顔で海を眺めています。

少年の姿は、見ている人の心をひどくかきむしるので、
人々は自分の持っているものを分け与えます。
リンゴ、花、歌など。

少年ははにかみながら小さく笑います。
その笑顔はとても美しくて、分け与えた者は心が洗われる気持ちになります。
けれど一人になると、その笑顔もしぼんでぽつんと海辺に佇むのでした。

人々は少年の淋しさを埋めてやりたい。
彼の輝くような笑顔を見たい。
そう誰もが思っていましたが、団長がそろそろ立ち去ると言い出しました。

人々はまだサーカスを見ていないと騒ぎだしました。
そこへ大きな木箱が登場し、中から小柄で痩せた女が出てきました。
少年の顔がパッと輝き、駆け出して広場の真ん中で二人はしっかりと抱き合います。
少年の母親なのです。

いつのまにか、広場に拍手と歓声が湧き起こっていました。
誰もが涙を流し、良い感動に浸っていて拍手は鳴り止みません。

そうです。
人々は自分の中に、可哀想な少年に対する無垢な愛を見ていたのでした。」

無垢の愛、無償の愛・・・もう何も言う言葉がありません。

そして章は「心の著しく所無き歌」「後れたる人の歌」「月を詠める歌」
「答ふる歌」「作者いまだ詳らかならざる歌」と続きます。
なんと叙情的な章でございますでしょうか。

奈良へ旅した静達は聖徳太子誕生の地、橘寺にたどり着きます。
こんな旅もいいよね〜、急にまた奈良へ行きたくなりました。
直に影響されてしまう岬でした。(笑)

あとがきに、
俳優であり映画監督の佐野史郎が興味深い解説をしていました。
「恩田作品は小説という形をとってはいるが、本質は”詩”ではないか?
だとしたら、他のミステリー作家との違いが明確になる気もする。」

恩田陸作品の本質が詩なら、岬が惹き付けられる理由が判ったような気がします。

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